文の基本は、
「主語・述語の関係」です。
「主語・述語の関係」とは、
「文節どうしの関係」のことです。
ちなみに
中学校で習う「文節どうしの関係」には、
次の4種類
①「主語・述語の関係」
②「修飾・被修飾の関係」
③「並列の関係」
④「補助の関係」があります。
今回は、
その中の「主語・述語の関係」に関する小話です。
まず問題で、
「主語・述語の関係」を確かめてみましょう。
問題➊
次の2文節の文で、主語のある文は、どれでしょうか?
①海は 穏やかだった。
②私は 悲しい。
③犬が 走る。
④美しい 建物だ。
⑤町から 離れる。
では、答えです。
答えは、
①、②、③です。
解説
赤字が主語で、橙字は、修飾語です。
①海は 穏やかだった。
②私は 悲しい。
③犬が 走る。
④美しい 建物だ。
⑤町から 離れる。
ちなみに④と⑤は、「修飾・被修飾の関係」の文です。「美しい」は、「建物だ」を、「町から」は、「離れる」を修飾しています。修飾するとは、「詳しく説明する」ことだと考えて下さい。
最初に言いましたが、
「主語・述語の関係」は、文の基本です。
しかし、
日本語では、
この主語が、頻繁に省略されてしまいます。
特に
文学的な文章において、
「主語の省略」は、顕著に現れます。
これも、問題で確認してみましょう。
問題➋
次の①~⑩の文の中で、
主語のある文は、どれでしょう。
文は、米倉斉加年著『大人になれなかった弟たちに……』の冒頭部分です。
①僕の弟の名前は、ヒロユキといいます。
②僕が小学校四年生のときに生まれました。
③そのころは小学校といわずに、国民学校といっていました。
④僕の父は戦争に行っていました。
⑤太平洋戦争の真っ最中です。
⑥空襲といって、アメリカのB29という飛行機が毎日のように日本に爆弾を落としに来ました。
⑦夜もおちおち寝ていられません。
⑧毎晩、防空壕という地下室の中で寝ました。
⑨地下室といっても、自分たちが掘った穴ですから、小さな小さな部屋です。
⑩僕のうちでは、畳を上げて床の下に穴を掘りました。
では、答えです。
答えは、
④、⑥です。
解説
赤字が主語で、青字が述語です。
(橙字)は、省略された主語です。
①僕の弟の名前は、(人々が)ヒロユキといいます。
②僕が小学校四年生のときに(弟は)生まれました。
③そのころは小学校といわずに、(人々は)国民学校といっていました。
④僕の父は戦争に行っていました。
⑤(父が戦争に行った時期は)太平洋戦争の真っ最中です。
⑥空襲といって、アメリカのB29という飛行機が毎日のように日本に爆弾を落としに来ました。
⑦(僕たちは)夜もおちおち寝ていられません。
⑧(僕たちは)毎晩、防空壕という地下室の中で寝ました。
⑨地下室といっても、自分たちが掘った穴ですから、(地下室は)小さな小さな部屋です。
⑩僕のうちでは、(母や祖母たちが)畳を上げて床の下に穴を掘りました。
※省略された主語は、あくまでも例なので、表現は、他にも可能です。
もし、
正確に文章を読もうとするなら、
この省略されている主語をいちいち確認して、
読まなければいけません。
想像するだけで、
疲れてしまう作業です。
英語では、基本、主語の省略が見られません。
どちらがよいのかは、一概に言えません。
というのも、
言葉は、ニーズに合わせて発達するため、
その国の人たちが培ってきた
生活様式が大きく作用します。
日本人にとって、
「主語を省略する」必要性があったのか、
「主語を省略できる」環境があったのか、
この話は、またの機会に致しまして、
とにかく
日本語は、
「主語を省略するんだ」という特徴
を掴んでもらえたと思います。
では、最後に
今日の題名の
『「野菜が食べたい。」この文に主語は、ありますか?』です。
問題➌
次の2文節の文で、主語のある文は、どれでしょうか?
①野菜が 食べたい。
②野菜が 苦手だ。
どうでしょうか?
答えは、決まりましたか?
では、答えです。
答えは、
②です。
②には、主語がありますが、
①には、主語がありません。
なぜでしょう。
理由は、次回、説明したいと思います。
次回は、「主語・述語の関係」の種類です。