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中学2年『走れメロス』①『走れメロス』は、誰と誰の物語なのか?

走れメロス』は、誰と誰の物語なのか?

趣味として読書を楽しむ場合は、読み方自由ですが、
「教材」とし読むなら、抑えておいた方が良いことです。

2択で考えるなら、

①「メロス」と「セリヌンティウス」の物語。
②「メロス」と「ディオニス」の物語。

となります。

どちらでしょうか?


「物語」の基本を抑えると「答え」が分かってきます。

【「物語」で、おさえる基本】

①「登場人物」をおさえる。
②「一番大きな事件」をおさえる。
③「中心人物」をおさえる。

☝の3点を抑えると、
「誰と誰の物語なのか?」の「答え」が出てきます。

①登場人物

ここは、いろいろな定義があると思いますが、
自分は、「セリフのある人=登場人物」としています。
勿論、
例外があるので、そのとき、そのとき、対応しますが、
基本、「セリフのある人=登場人物」と考えます。

☟のようになります。

②「一番大きな事件」と③「中心人物」は、
連動しています。
どちらが先に見つけやすいか、人それぞれです。

走れメロス』は、
「中学の教材」としては、長い文章です。

よって、いろいろ事件が起きます。

どれが「一番大きな事件だろう?」と悩むなら、
先に
「③中心人物」を探すと良いかもしれません。

③中心人物

中心人物」とは、「変化する人」です。

基本、
「主人公=中心人物」となることが多いですが、違う場合もあります。

走れメロス』の主人公は、「メロス」です。

作中、
確かに「メロス」は、変化しています。

しかし、
「メロス」の「根っこ」は、変わっていません。
体力消耗」と「睡眠不足」で、「弱気」になっただけで、
「メロス」の根本(=人を信じる人)は、変わっていません。


中学2年春の教材『アイスプラネット』と同じです。
悠ちゃん(主人公)は、ぐうちゃん(おじさん)に腹を立てますが、
本気で嫌いになったわけでは、ありません。
「好きの嫌い」です。
表層の変化で、
根っこの変化でなかったのと同じです。


この『走れメロス』で根っこが変わったのは、
ディオニス」です。


証拠を提示すると、

第一場面で登場した際、

疑うのが正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。
人の心は、あてにならない。
人間は、もともと私欲の塊さ。信じては、ならぬ。

と言っていますが、

最終場面では、

おまえらの望みはかなったぞ。
おまえらは、わしの心に勝ったのだ。
信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。

のことを言っています。

人を疑う人」から
人を信じる人」に変化しています。

よって、
中心人物ディオニス」となります。

②一番大きな事件

では最後に

「何(=一番大きな事件)」が
「中心人物=ディオニス」を変えたのか?を考えます。

簡単にいうと、

メロスが約束を守って、帰ってきたこ」となのですが、
☝それが何を表しているかとういうと、

「メロスが『信実とは、決して空虚な妄想ではないこと』を証明した」ということです。

これは、『走れメロス』の主題です。


ついでに「メロス」と「ディオニス」の人物像も比較しておきます。

「メロス&ディオニス」の人物像

「メロス」の人物像

職業=村の牧人

性格

・正義感が強い。=邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
・のんき。
・単純な男。
・人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。=人を信じる人

「ディオニス」の人物像

職業=国王、王様、王

・暴君=横暴な人
・疑うのが正当な心構え=人間不信=人を疑う人

「メロス」と「ディオニス」は、真逆に見えますが、
こうやって、書き出してみると、
「根っこ」が同じだと分かります。

「メロス」も「ディオニス」も、

「根っこ=単純な人間=純粋な人間」か、
「子どものまま、大人になった人」か、
自閉スペクトラム症傾向にある人」だと思われます。

信仰が違う(人を信じる人⇔人を疑う人)だけで、発想は、同じです。


メロス   人を疑う=悪い奴(=王)だ➡殺してしまえ。
ディオニス 悪心を抱いている=悪い奴だ➡殺してしまえ。

「メロス」と「ディオニス」は同種なので、衝突したと思われます。

一方、

セリヌンティウス」は、
「メロス&ディオニス」とは、異種のためか、
作中、「メロス&ディオニス」と衝突することがありませんでした。

セリヌンティウス」は、「同調の人」だと思われます。

同調=他のものに調子を合わせること。
   他と意見・態度を同じくすること。

以上のことから、

走れメロス』は、
メロス」と「ディオニス」の物語となります。

勿論、
何らかの根拠を持って、

走れメロス』は、
「メロス」と「セリヌンティウス」の物語だと言う人もいると思います。

別にそれは、それでよいと思います。

ただ「教材」として扱われる場合は、
これらの情報が頭に入っていると、「読み解きやすいよ」と言っているだけです。


次回は、「②一番大きな事件」と「③中心人物」を使った「要約」の仕方を説明します。

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