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中学2年 古文「扇の的」訳 後編「矢を射た後」①

後編「矢を射た後」①は、

「与一が矢を放ち、矢が扇に当たり、両陣営から歓声が上がるところ」までが描かれています。


【「扇の的」で、出題されやすい知識】

対句表現になっている箇所
擬音語
③「係り結びの法則」が使われている箇所

は、

①対句表現 2か所
②擬音語  2か所
③係り結び法則 3か所

があります。

1行目

「かぶら」=「鏑(かぶら)矢」という矢の種類。
矢幹(やがら)=棒の先に笛的なもの(=鏑)がついていて、飛んでいくと音が鳴る矢です。
戦闘用の矢ではなく、開戦の合図に使う矢です。
ただし戦闘用の矢ではないと言っていますが、
写真など見る限り、当たれば痛そうというか、それなりに殺傷能力がありそうです。

「よつぴいて」=能く引いて=教科書の訳では、「能く」を「十分に」と訳しています。

「ひやうど」=「ひょうど」と読みます。
       擬音語(=矢を放った音)です。
       今なら、「バシュッ」「ビシュッ」とかでしょうか。

2行目

「小兵といふぢやう、十二束三伏、弓は強し、」=
那須与一は、小柄だけど、弓のサイズは普通サイズで、「弓の強さ」も「三人張りor四人張り」の強めの使っていますよ、」
        
「十二束三伏」=グー(=握りこぶし)12個と指3本の長さです。

「弓の強さ」=「二人張り」が普通で、「五人張り」が最強なので、
       恐らく「三人張りor四人張り」ではないでしょうか。

「過たず」=「誤りがない」=「失敗なく」

「一寸」=手首から脈所までの距離=約3.03㎝の距離です。
     一寸法師=3センチボーイ
     竹から出たての「かぐや姫」=約9㎝

「ひいふつと」=「ひいふっと」と読みます。
        擬音語(矢が扇に当たった音)です。

3行目

対句表現=「鏑(かぶら)矢=海」⇔「扇=空」の対です。

4行目

空に上がった扇」の行方が描かれています。

5行目

前半部分=「海に落ちた扇」の状態が描かれています。
     =白波に浮かぶ、真っ赤な日輪。
     
     ちなみに「扇のデザイン」は、金地に真っ赤な日輪(=太陽)が描かれています。

後半部分=対句表現=「沖の平家」⇔「陸の源氏」の対です。

両陣営、鳴り物の代わりに「船端=船の側面」や「えびら=矢を入れる武具」を叩いて、与一の健闘を称えています。
今で言うと、「大谷選手のハッスルプレーに対して、敵味方関係なく、球場全体でスタンディングオベーション」といった感じでしょうか。



次回は、最終回 後編「矢を射た後」②です。

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