「かわいい」の品詞は、形容詞です。形容詞は、一応、中学2年時に習います。
「かわいい」は形容詞なので、「かわいい」の最後の「い」の部分が活用します。例えば、「かわいい」を、過去を表す助動詞「た」に接続する場合、「かわい かっ た」となり、「い」が「かっ」に変形します。では、「かわいい」+「ございます」の場合、「い」は何に変形するでしょうか?という小話です。
かわい「?」ございます
【答え】
かわ ゆ う ございます
「?」となりますね、2箇所変化しています。本来なら「かわい う ございます」なのですが、ある法則に基づいて、3番目の「い」も変化して「かわゆうございます」となります。ある法則とは、どんな法則か?興味がある人は、引き続きどうぞ。
【問題】
①「うれしい」+「ございます」⇒?
②「かなしい」+「ございます」⇒?
【答え】
①うれしゅうございます
②かなしゅうございます
それぞれ次のように変化しています。
「かわいう」は⇒「かわゆう」に変化しました。
「うれしう」は⇒「うれしゅう」に変化しました。
「かなしう」は⇒「かなしゅう」に変化しました。
この3つは同じ法則で変化しています。ローマ字で表記すると分かりやすいです。
kawaiu ⇒ kawayuu
uresiu ⇒ uresyuu
kanasiu ⇒ kanasyuu
どうでしょうか?「iu」が「yuu」に変化しているのが分かります。古文に詳しい人は知っていると思いますが、「au」「iu」「eu」のように母音が並んだときは、それぞれ「ou」「yuu」「you」という発音に変化するという法則です。授業担当者によって濃密度が異なるので、アレですが、一応、中学1年時に習う内容です。
au ⇒ ou
iu ⇒ yuu
eu ⇒ you
「かわいい」「うれしい」「かなしい」は、「iu ⇒ yuu」パターンですが、「au ⇒ ou」パターンも確認してみます。「わかい」に「ございます」を接続すると、まず「わかうございます」となります。ローマ字で表記するとこうなります。
wakaugozaimasu
「au」と母音が並んだので、「au ⇒ ou」の法則が発動して、変化するので、
wakougozaimasu
=「わこうございます」となります。
では、確認問題です。
①「ありがたい」+「ございます」⇒?
②「はやい」+「ございます」⇒?
【答え】
①も②も、まず「い」が「う」に変化するので、
①「ありがたうございます」となり、ローマ字表記すると、
arigataugozaimasu
⇒arigatougozaimasu
=ありがとうございます
②「はやうございます」となり、ローマ字表記すると、
hayaugozaimasu
⇒hayougozaimasu
=はようございます
「ありがとうございます」の意味は?
「ございます」は、補助動詞「ある」の丁寧語なので、「ある」を丁寧に言っています。(ちなみに補助動詞とは「動詞が本来の意味を失って、付属的な意味を添えるものとして用いられる動詞のことです。)「ありがとうございます」は、「ありがたいという状態がある」ということを丁寧に言っている言葉です。
ついでに「はようございます」は、「はやいという状態」があるということを丁寧に言っている言葉です。※「おはようございます」は、この「はようございます」に接頭語の「お」をつけた言葉です。
また最後の母音が「ai」で終わる形容詞には、
「あかい=akai」
「ありがたい=arigatai」
「はやい=hayai」などがあり、
最後の母音が「ii」で終わる形容詞には、
「かわいい=kawaii」
「うれしい=uresii」
「かなしい=kanasii」などがありますが、
「ei」と続く形容詞は思いつかないので、多分ないと思います。もし見つけた人がいたら、教えてほしいと思います。
さらに余談ですが、古文で「けふ」「てふ」と書いて、「きょう」「ちょう」と読むのも、この法則のためです。「けふ」「てふ」の場合は、2つの法則が発動しています。まず、「ふ」と書いて「う」と発音します。これが1つめの法則です。
例「思ふ」⇒「思う」
というわけで「けふ」と書いて「けう」と発音します。「けう」をローマ字で表記すると、「keu」となります。「eu」と母音が続いたので、「eu ⇒ you」の法則が発動して、「kyou=きょう」となります。
「てふ」の場合も、「てふ」⇒「てう=teu」⇒「eu ⇒ you」の法則が発動⇒「tyou=ちょう」となります。
「形容詞の小話『かわいい』を『ございます』に接続できますか?」でした。