前回の外来語は、
中学3年生の2学期の中間テスト対策用に書いた記事だったので、
基本的なことを書きましたが、
今回は、発展編です。
おさらい
外国語とは、
❶漢語以外で、外国から取り入られた言葉。
➋日本で作られた和製英語。
外来語の定義は、様々あるようですが、
光村図書発行『国語3』の本文を基にしています。
辞書の意味とも、基本、同じでなので、差し支えないと思います。
旺文社『国語辞典』
「もと外国語であったものがとり入れられて国語と同じように使われている語。 ガラス・パン・キセルなど。」
「外国からつたわって、その国のことばとなって使われていることば。 カステラ・クリーム・コーヒー・シャツなど。
問題001
次の言葉の中で、外来語は、どれでしょうか?
①天麩羅(てんぷら)
②イクラ
③おてんば
④さぼる
⑤ぐっすり
⑥金平糖(こんぺいとう)
⑦カステラ
⑧歌留多(かるた)
答え
①②③④⑥⑦⑧
①「天麩羅」の語源は、
ポルトガル語の「tempero」(=調理する)だとする説が有力です。
②「イクラ」の語源は、
ロシア語の「ikra」(=魚の卵)だと云われています。
③「おてんば」の語源は、
オランダ語の「ontembaar」(=手に負えない)だと云われています。
④「さぼる」の語源は、
フランス語の「sabotage」だと云われています。
外来語は、基本、名詞として採用されますが、
動詞化した珍しい外来語です。
⑤「ぐっすり」の語源は、
英語の「good sleep」が語源だとする都市伝説が有名ですが、
江戸時代から使用例 *1 が見られるため、
日本語だとする考え方が一般的です。
⑥「金平糖」の語源は、
ポルトガル語の「confeito」(=砂糖菓子)だと云われています。
織田信長のお気入りのお菓子です。
⑦「カステラ」の語源は、
ポルトガル語の「pao de castelra」
(=スペインのカスティーリャ地方のパン)だと云われています。
⑧「カルタ」の語源は、
ポルトガル語の「carta」(=紙片)だと云われています。
【まとめ】
紛らわしい外来語には、
戦国時代~江戸時代に伝わった
問題002
次の言葉は、どこの国から伝わった言葉でしょうか?
①パン
②ソロ
③カルテ
④オムレツ
⑤ズボン
⑥アバンチュール
⑦アベック
⑧リュクサック
⑨バリカン
答え
今は、英語の「ブレッド」という言い方もしますね。
②イタリア
soloは、英語だと「single」でしょうか。
日本語では「歌唱」「演奏」「演技」などを
一人で行うという意味で使われます。
音楽関係で使われるのが多いのは、
明治期に音楽関係は、イタリアから学ぶことが多かったためです。
そう考えると、野球の「ソロホームラン」は、
急にイタリア語で謎です。
③ドイツ
カルテは、ドイツ語で「Karte」(=紙片)を意味します。
明治期に医療関係は、ドイツから学ぶことが多かったため、
「カルテ」=「医師の診療記録カード」となりました。
というわけで、
「カード」=「カルテ」=「カルタ」は、そもそも「紙片」のことです。
④フランス
西洋料理の卵料理のひとつで、
フランス語の「omelette」が転訛したものだと云われています。
明治期に料理関係は、フランスから学ぶことが多かったため、
料理関係の言葉にフランス由来の外国語が多いです。
「アラモード 」「オードブル」「グルメ」
⑤フランス
今は、英語の「パンツ」という言い方もします。
明治期に服飾関係は、フランスから学ぶことが多かったため、
服飾関係の言葉にフランス由来の外国語が多いです。
「アップリケ」「オートクチュール」「シュミーズ」
⑥フランス
ひと昔前「アバンチュールな恋」といった表現がありましたが、
意味は「冒険」といった意味です。
綴りを見ると面白いです。
綴りは、「aventure」です。
英語でいうところの「adventure」です。
違いは、「d」があるか、ないかです。
また、英語とフランス語は、綴りが同じでも、
読み方が違うため、
「Michael」も、
英語では、「マイケル」ですが、
仏語だと「ミッチェル」になります。
⑦フランス
今は、英語の「カップル」という言い方が主流です。
フランス語の「avec(アベック)」です。
明治期は、
「恋愛=フランス」という観念があったのでしょうか。
⑧ドイツ
もとは、ドイツ語の「Rucksack(ルックザック)」からきた言葉です。
明治期に山岳関係は、ドイツから学ぶことが多かったため、
山岳関係の言葉にドイツ由来の外国語が多いです。
⑨フランス
「バリカン」は、実は、会社の名前です。
明治期に「バリカン・エ・マル」という
会社の製品が日本で初めて紹介されたので、
「バリカン=髪を刈る機械」という意味が定着しました。
【まとめ】
戦国・安土桃山期は、
「ポルトガル」「オランダ」由来の外来語が多く、
明治期は、
各分野のスペシャリストの国から専門知識を学んでいたため、
「イギリス」「フランス」
「ドイツ」「イタリア」由来の外来語が多くなった。
また、
外来語の特色のひとつである
「新鮮な語感・軽快な語感」が求められるため、
置き換えが激しく、
「チョッキ⇒ベスト」「ズボン⇒パンツ」「チャック⇒ファスナー」など
現在は、英語(主にアメリカ)由来の外来語が増えている。