以前「い」抜き言葉の小話を書きましたが、
ひとつ面白い「い」抜き言葉を発見(!?)しました。
では、小話を始めます。
問題
次の文のでは、どちらが「い」抜き言葉だと思いますか?
A 僕は、今、その美しい花を見てない。
B 僕は、まだメモの内容を見てない。
【簡単おさらい】
「い」抜き言葉とは、
動詞「いる」+否定の助動詞「ない」の
「いない」の
「い」が抜けてしまった表現で、
書き言葉では、間違った表現とされます。
【見分け方】
「い」抜き言葉ではない場合、
その「ない」は、形容詞であるため、
「ない」を「ありません」に置き換えることが可能です。
答え
Aの文が「い」抜き言葉です。
【解説】
では、確認のため、「ありません」に置き換えます。
A、Bの文の「ない」を、
それぞれ「ありません」に置き換えると、
A 僕は、今、その美しい花を見てありません。
B 僕は、まだメモの内容を見てありません。
となります。
Aは、おかしく感じますが、
Bは、おかしくないように感じます。
これは、
AとBでは、「見る」の意味が違うからです。
Aの「見る」は、
「視覚によって、対象物のかたち・存在・ようすなどを知る。」
という意味で使われており、
Aの動詞の時間幅は、
「動作の始まりから終了直前」ですが、
Bの「見る」は、
「読むことで、意味や内容を知る。」
という意味で使われており、
Bの動詞の時間幅は、
「動作の終了点」です。
これは、同じ言葉でも、
それぞれの意味が持つ「動作の時間幅」が違うため、
「い」抜き言葉になるときと
「い」抜き言葉にならないときがある
という面白い例です。
まとめ
同じ言葉であっても、意味の違いによって、
「動作の時間幅」が異なる場合があるため、
「い」抜き言葉になるものと、
「い」抜き言葉にならないものがあるという小話でした。