taketakechopの小話の世界

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命令形が似合わない動詞

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「乗る」「崩す」「通る」「投げる」の命令形は、

「乗れ」「崩せ」「通れ」「投げろ」です。

ところが、

「知る」の命令形は、少し変です。

「知る」の命令形は、

「知れ」です。

決して言えないことは、ないけど、

なんだか変な感じがします。

「知る」は、命令形が少し似合わないような…。

 

「臭う」の命令形は、もっと似合いません。

「臭え」です。

 

さらに

これらは、どうでしょうか?

「泳げろ」

「貸せろ」

「話せろ」

「乗れろ」

何かおかしいですね。

これらは、基本形に戻すと、

「泳げる」「貸せる」「話せる」「乗れる」となります。

これらは、

全て可能動詞 *1 と呼ばれる動詞です。

実は、「可能動詞に『命令形』は、ない」ということになっています。

中学校の教科書や、

文法の問題集や学習書にも、載っています。

でも、

本当にないのでしょうか?

「泳げろ」「貸せろ」「話せろ」「乗れろ」

少し変だけど、

言われたら、「命令された感」があるような気がします。

決して言えなくは、ないような…。

確かに「よ」バージョンの命令形にすると、

「泳げよ」「貸せよ」「話せよ」「乗れよ」となり、

動詞「泳ぐ」の命令形の「泳げ」+念押しの助詞の「よ」

=「泳げ・よ」にもっていかれそうになるけど、

でも、

「泳げよ」も、ありと言えば、

ありと言えなくもないような…

僕の言語感覚が乱れているのか?

 

そもそも「できる」の命令形「できろ」が存在しているし、

「泳げろ」や「泳げよ」は、

文法的には、決して間違っていないので、

将来的に多くの人が使うようになれば、

「可能動詞にも、命令形がある。」と

認められる日が来るような気がします。

 

【まとめ】

①「臭う」から考えると

 自分からの積極的な行動でない動作には、

 命令形が似合わない。

②現在、可能動詞の命令形は、認められていない。

*1:「できる」という可能の意味を持つ動詞。室町時代頃から現れ、江戸時代に急激に発展した動詞。なかなかの問題を持つ動詞の中の問題児。