国語の副教材(ワーク)の中に「短文づくり」の問題が載っていませんか。もし、載っていないなら、幸いです。
↓こんな感じの問題です。
この問題を自力でやっても、解答には、例がひとつしかなく、まともな解説もありません。
↓こんな感じです。
せっかく取り組んでも、自分の答えが当っているのか、違っているのか、判断できません。はっきり言って、この問題を自力で解ける人、評定5と一部の評定4の人たちだけです。結局、多くの人にとって、短文作りは、意味のない作業になってしまうので、ほとんどの人は、最終的に「答えを写すだけ」という作業に変わります。「短文作り」の問題は、子供のやる気を損なう、恐ろしいシステムのひとつです。
今回は、この「短文作り」を意味のある作業にするためには、どうしたら良いのかという小話です。
↑これだけです。
「指定された言葉の品詞 *1 は、何か?」これを確認するだけで、この「短文作り」は、意味のある作業に変わります。
例えば、「いったい」という語句を使って、「短文作り」をするとき、「いったい」の品詞は、何か?これを調べます。 (勿論、意味も確認するとより効果的です。)調べると、「いったい」には、「名詞」と「副詞」の2つの品詞があると分かります。しかし、問題文には、この「いったい」という語句を、「名詞」として扱っているのか、「副詞」として扱っているのか、指示がありません。
注意 国語の問題集のほとんどは、不完全な問題です。
したがって、指示が曖昧なときは、自分で決めるしかありません。教科書の文 *2 では、「いったい」を「副詞」として使用しているので、今回は、「いったい」を「副詞」として考えます。
ココで一番重要なのは、「品詞の働き」を把握することです。今回の場合は、「副詞の働き」を把握することです。「副詞」は、状態や程度を表し、主に用言を修飾します。ということは、「いったい」という語句を使って、短文を作るとき、正解・不正解になる基準は、用言を修飾しているか、どうかになります。では、実際に作ってみましょう。※用言とは、「動詞」「形容詞」「形容動詞」のことです。
「いったい 走る」(動詞「走る」を修飾した例)
「いったい 美しい」(形容詞「美しい」を修飾した例)
「いったい 穏やかだ」(形容動詞「穏やかだ」を修飾した例)
文法的には、これで正解です。しかし、「何かおかしい。」と感じる人は、 この表現に馴染みがないからです。 例えば、夏目漱石の『坊ちゃん』の中に「いったい生徒が全然悪い」と同じ表現があります。今では、あまり使われなくなった表現ですが、決して間違いでは、ありません。 「品詞の働きを把握する」は、これで終了です。
面倒でない人は、意味を確認して「短文作り」してみましょう。「いったい」の意味には、①「一般に。概して。」②「もともと。本来。」③「ぜんたい。」(強い疑問を表す)などがあります。さらに多くの場合、「いったいに」の形で使われるという情報があります。
①と②の意味の解答例
「いったいに 走る」(動詞「走る」を修飾した例)
「いったいに 悪い」(形容詞「悪い」を修飾した例)
「いったいに 静かだ」(形容動詞「静かだ」を修飾した例)
【主語をつけた解答例1】
③の意味の解答例
「いったい なぜ だろう。」
「いったい どうして だろう。」
この場合、「いったい」は、「なぜ」、「どう」(どちらも副詞)を修飾しています。「副詞」は、主に用言を修飾しますが、稀に用言以外も修飾することがあります。これは、その「用言以外を修飾する」というレアな例です。
【主語をつけた解答例2】
「品詞(=品詞の働き)を確認する」ことのメリットは、全部で、品詞がたったの10品詞しかないということです。語句の意味を全て覚えることは、不可能ですが、品詞の働き10種を覚えることは、可能です。テストに意味の分からない語句が出ても、その品詞を予想することは、比較的容易です。意味が分からなくても、その品詞の働き通りに短文を作れば、正解する可能性が高まります。
【まとめ】
①「短文作り」に使う語句の品詞と意味を調べる。
②品詞の働きを把握して、「短文作り」をする。