勝手に品詞分解4
これは、
この文の
素晴らしいところを
説明できるでしょうか?
困りますね。
困りませんか?
困った人は、
説明するべき観点が見つからなかっただけです。
観点を決めると、説明できます。
taketakechopの観点は、
勿論、文法です。
品詞分解すれば、説明することができます。
とういうわけで、
文法の小話「勝手に品詞分解4」です。
品詞分解すると以下のようになります。
【わかったこと】
①「国境の長いトンネルを抜ける」と「雪国であった」の
2つの文が合体している。
②それぞれの動詞「抜ける」と「あった」の主語が省略されている。
英訳文と比較すると面白いと思います。
「The train came out of the long tunnel into the snow country.」
英語は、省略しない文です。
主語に「The train」がしっかり出てきます。
また、
この訳文は、1文として訳されています。
ここが一番大きな違いでしょうか。
日本の文学で、
素晴らしいと考えられる作品は、
10人の読者が
異なる10通りの感想を持つことができる作品です。
10人の読者に10通りの感想を持たせるために、
省略する表現(=全てを言わない=粋)や
抽象的な表現を駆使して、
日本の作品は、作られる傾向にあります。
この省略された部分や抽象的な部分に
読者は、各々の
思いを馳せたり、
想像したりして物語を楽しみます。
この「雪国」という抽象的な言葉は、
この文のポイントの一つです。
もう一つのポイントは、変化です。
2つの文を合体させて、
前の文と後ろの文で変化が起きるよう言葉が選ばれています。
しかも、2つの変化が同時に起きる仕掛です。
ひとつは、視点の変化で、
「国境の長いトンネルを抜ける」=低い視点から
「雪国であった」=上空から見下ろす高い視点へ
と変化します。
もう一つは、色の変化です。
「国境の長いトンネルを抜ける」=黒から
「雪国であった」=白へ
と変化します。
この「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」には、
3つの仕掛けがある複雑な文です。
また、
taketakechopが特に素晴らしいと思うのは、
この型をまねれば、
誰でも、素晴らしい文が作れるところです。
【ポイントまとめ】
①抽象語の使用
②視点の変化
③色の変化
作文例
どうですか?
文の成分としては、全く同じで、
3つのポイントを押さえています。
言語センスの低きtaketakechopでも、
それなりにそれっぽくないですか。
(そうでもない?ただ自分の場合は、これが限界。)
この「国境の 長い トンネルを 抜けると 雪国で あった。」という文は、
これ程素晴らしい名文なのです。
しかし、今更、
名もない人間が言うことではなかったですね。
それでは、失敬します。
勿論、taketakechopの勝手な解釈で、諸説あります。