映画の小話6
『ラッシュ・アワー』Rush Hour
(1998年/ブレット・ラトナー監督)
前回に続いて、ジャッキー・チェンです。ジャッキー・チェンを有難がって、幼少期を過ごした人 *1 にとって、『ラッシュ・アワー』は感慨深い作品ではないでしょうか?
『ラッシュ・アワー』は、ジャッキー・チェンにとって初の完全ハリウッド映画です。典型的なバディ・ムービー(相棒映画)で、黒人とアジア人という組み合わせは、意外と初だと思います。ブルース・リーの後継カンフ・スターとして乗り込んだ、1980年『バトルクリンブロー』*2 から始まる全米進出計画、第2弾の1985年の『プロテクター』*3 、そして、1995年の『レッド・ブロンクス』*4 を経て、苦節18年、やっとこさ実現した完全ハリウッド映画 *5 が、この『ラッシュ・アワー』です。
ライバルのリー・リー・チェンは、僅か2か月先の1998年7月に『リーサル・ウェポン4』で、ハリウッド・デビュー。しかも、ジェット・リーと名前を変え、ブルース・リーの後継者を宣誓(!?)※綴りが違うから、勘違いか?「ブルース・リー=Bruce Lee」「ジェット・リー=Jet Li」
親兄弟でもないのに、なぜだか、無性に悔しかったのを思い出すわけですが。だから、念願の完全ハリウッド映画である『ラッシュー・アワー』に対する評価は、面白いとか、面白くないとか、クリス・タッカーの声質がどうとか、筋立てがどうとか、保険会社に制限されたジャッキー・アクションは、こんなものじゃないとか、ジャッキー自身が気に入っていないとか、そういうことはどうでもよくて、ただただジーン!!冒頭のニュー・ライン・シネマ社のロゴにジーン!ラロ・シフリン *6 作曲のテーマ曲にジーン!ジャッキー・チェンが苦手な英語を喋るシーンにジーン!エンドクレジットのNG集にジーン!観終わって、ジジジジーン!日本語吹き替えにして、もう一度ジーン!となってしまうわけなのです。
『ラッシュ・アワー』は、2001年に「2」が、2007年には「3」が公開されました。「3」では、なんとジャパンアクションクラブ出身の真田広之がジャッキー・チェンと一戦交えるという、これまた感慨深い作品です。
さらに、これは、もうジャッキー・チェン出ていないので、どうでもいいですが、2016年にはアメリカCBSでTVドラマシリーズとして『ラッシュ・アワー』が放送されましたが、人気が出なかった模様で、ファースト・シーズンで終了してしまいました。
TV版『ラッシュアワー』2016
*1:テレビで、初めて『蛇拳』、『酔拳』を観たとき、幼きtaketakechop少年は、日本語吹き替えという存在を知らない小学生だったため、ジャッキー・チェンを日本人だと思い込み、「同じ日本人であることを誇りに思う」などと激しく感動していました。
*2:ゴールデン・ハーベスト社(香港)とワーナー・ブラザース社(米国)の合作映画。
*3:ゴールデン・ハーベスト社(香港)とワーナー・ブラザース社(米国)の合作映画。
*4:ゴールデン・ハーベスト社(香港)制作の映画。(アジア映画発の全米興行収入初登場1位を達成)
*5:ニュー・ライン・シネマ社(米国)制作の映画。
*6:『燃えよドラゴン』のテーマ曲を作曲。他に『ミッション・インポッシブル』『ダーディー・ハリー』なども作曲する大御所。