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中学1年『星の花が降るころに』「プラスマイナス理論」で「物語」を読もう!

昨日、
「プラスマイナス理論」という言葉を出しました。
taketakechop.hatenablog.com

この「プラスマイナス理論」は、
「文学的文章」との相性が良いので、

1年生の『星の花が降るころに』という教材を使って、
「プラスマイナス理論」の良いところを話します。


物語には、基本、

変化する人(もの)」が出てきます。

この「変化する人(もの)」を探すとき、

「プラスマイナス理論」が役に立ちます。



『星の花が降るころに』の登場人物には、

①私=主人公(女)

②主人公の親友(女)=「夏実=現在は、仲たがい中」

③小学校からの同級生(男)=「戸部君」

④公園を掃除する「おばさん」

がいます。


この4人の中で、誰が重要でしょう。


パッと見、
②の「夏実=親友」が重要に思えますが、
この人は、それほど重要ではありません。


重要なのは、「戸部君」です。

「戸部君」は、マイナス状態の「私」が「プラス」に転じるきっかけを作る人物です。

ちなみに全登場人物の重要度は、

戸部君<おばさん<夏実」となります。


それでは、
戸部君=重要キャラ」説を「プラスマイナス理論」で説明します。


この物語は、全部で4場面あります。

「戸部君」が登場するのは、2場面と3場面のみなので、
下☟の画像には、1~3場面までを載せています。
ただし「戸部君」に関係のない箇所は、薄く表示してあります。

「主人公=私」の「戸部評価」を「プラス」「マイナス」でマーカーしました。


前半=「マイナス」しかありません。
後半=途中で「マイナス」から「プラス」に変わります。


前半の私の「戸部評価」は次の通りです。

「なんで、戸部君はいつも私にからんでくるのか。」=キモい
「なんで、同じ塾に入ってくるのか。」=ストーカー
「なんで…恰好よくないのか。」=不細工
「関わり合っている暇はない。」=関わる価値なし

結果、
私は、「戸部=糞野郎」ぐらいに思っています。

後半も
「にくらしくてしかたがなかった。」までは、「戸部=糞野郎」なのですが、

「ボールを磨く姿」を見て、
「戸部君のボールに対する想い」が呼び起こされると、
一転、
「プラス」評価へと変わります。

戸部君の「おい」=「耳になじんでいた声」とあります。

「なじむ」=「なれ親しむ。」というプラスの言葉です。

若干のやりとりがあったあと、

戸部君は、
決して面白くないジョーク=「あたかもしれない」を発言します。

前半で、もし、この「あたかもしれない」を炸裂させていたら、
恐らく主人公の私は、「戸部、マジで糞だな、死ね」ぐらいに思ったかもしれません。

しかし、
この場面では、「主人公の私」は、笑います。

さらに、「関わる価値なし」の戸部君の「背が伸びていること」に気づいたりもします。


変化(=成長)したのは、「誰」か?


戸部君は、基本、変わっていないので、
変わったのは、「」ということになります。

戸部=成長」に対して、「私=成長しているのか?」と自問する図式が見えてきます。

そして、

第3場面の最後の1文
=「涙がにじんできたのはあんまり笑いすぎたせいだ、たぶん。」の「涙」は、
「プラスの涙」か?「マイナスの涙か」?を確認します。

「あんまり笑いすぎたせいだ」とあるので、

笑ったことで、出てきた「涙」=「プラスの涙=うれし涙」と考えられます。

しかし、

文末に「たぶん」という言葉が付いています。

「たぶん」の「品詞」は、「名詞」か、「形容動詞」か「副詞」です。

この文中で、

「たぶん」は「笑いすぎたせいだ」を修飾している(=用言修飾)ので、

「副詞」と考えられます。

「たぶん(副詞)」=「十中八九。」という意味です。

「八九」=「プラスの涙」だけど、「一二」=「マイナスの涙」ということになります。

では、

この「マイナスの涙」は何か?

「夏美と上手くいっていないことに対する涙」=「悲しみの涙」となります。



こういう「プラス・マイナスが混ざっているところ」がテストに出やすいです。



そして、
お話は、最終場面へと続きます。

最終場面では、

「夏美にこだわるのをやめて、前向きになろう」と決心するに至る「出来事」が起こります。

これも「プラス」「マイナス」を確認すると分かりやすいので、

興味・関心・意欲の湧いた人は、一度、試してみて下さい。


中学1年『星の花が降るころに』「プラスマイナス理論」で「物語」を読もう!でした。