文学的文章は、
プラス表現とマイナス表現を確認すると、
理解しやすいです。
ただ効率が良くないので、
効率を求める人には、お薦めしませんし、
基本、
作業内容が合う、合わないがあるので、
「これは、合わないなあ。」と思う人にも、お薦めしません。
時間に余裕があり、
答えのないことを考えるのが
好きな人は、
試してみると良いかもしれません。
※この作業は、
正解・不正解がないので、悪しからず。
では、解説です。
解説も、4段落全部やると大変なので、
今回は、4段落中の最初の段落だけ、解説します。
最初の2行
最初の2行から難しいです。
①古い家は、ますます遠くなり、
②故郷の山や水もますます遠くなる。
③だが
④名残惜しい気はしない。
①と②は、まとめて、「故郷が遠くなる。」と捉えます。
③「だが」=逆接
④「名残惜しい=別れるのがつらい」とういう気はしない。
⇒「名残惜しい=マイナス」なので、
「マイナスの気はしない。」となり、
結果⇒プラスの感情となります。
ここまでをくっつけると、
①②故郷が遠くなる。
③ だが、
④ プラスの感情。
となります。
「逆接=だが」を使っているので、
後ろが「プラス」になったということは、
前がマイナスの原因になります。
「故郷が遠くなる」=マイナス
「故郷が遠くなる=マイナス」ということは、
「プラスが遠くなる」ことで、マイナス現象になると考えられ、
私(=主人公)にとって、
「故郷=プラス」だと考えられます。
しかし、
「プラスの故郷が遠くなる」というマイナス現象が起きているのだけど、
マイナスの感情ではなく、
逆に「名残惜しい気はしない」というプラスの感情が生まれるのかなあ?
という疑問が残ります。
一旦、置いておいて、読み進めます。
すると、
「気がめいる(=考え込んで憂鬱になる=マイナス)」が出てきます。
結局のところは、
マイナスの現象(=故郷が遠くなる)で、
マイナスの感情(=気がめいる)が生まれてたということが分かります。
【スリム文①】
故郷が遠くなる。
気がめいるだけだ。
では、
「だが名残惜しい気はしない。」は、なんなのか?
恐らく、
「故郷が遠くなる」ことで、マイナス感情が生まれるのだけれど、
それは、
「別れがつらい」というマイナス感情ではなく、
「気がめいる=憂鬱」というマイナス感情が適切だと言っているように思えます。
また、
逆接「だが」に関しては、
故郷が遠くなる。
(通常なら、)名残惜しいと感じるだろう。
だが、名残惜しい気はしない。
となるところ、
「だが」の前部分「=通常なら、名残惜しいと感じるだろう。」が
省略されているように感じます。
とにかく、
この「だが」があると解釈がややこやしくなるので、
本当は、ない方が良いのかなあと思います。
ただ文学的文章で、
文法的な正しさを求めるのはナンセンスだと思います。
自分は、脳の特性で気になってしまいますが。
こういうどうでもいいところで、気になる人は、
国語が苦手な人かもしれません。
残り3行
残り3行は、分かりやすいです。
①すいか畑の銀の首輪の小英雄の面影は、
②元は鮮明このうえなかったのが、
③今では急にぼんやりしてしまった。
④これもたまらなく悲しい。
①プラスの思い出は、②とてもクリアだったの
が(=逆接)
③「ぼんやり=マイナス」してしまった。
④これも悲しい(=マイナス感情)。
プラス、マイナスだけで言うと、
プラスだったのが マイナスに なった。
で、マイナス感情が生まれた。
となります。
分かりやすい構図です。
【スリム文②】
小英雄の面影は鮮明だったのが、
ぼんやりしてしまった。
これも悲しい。
ただ、
④「これも悲しい。」とあり、
「これも」の「も」は、「他にも類がある」という意味の副助詞なので、
「悲しい」というマイナス感情を生む原因が
「プラスの思い出がぼやける」以外にもあるということになります。
はっきりとは、分かりませんが、
通常で考えれば、すぐ前で言っている
「故郷が遠くなる」かなあと思います。
とすると、
「故郷が遠くなる」=「悲しい」となり、
最初に「故郷が遠くなる」=「気がめいる」と言っているので、
ここでは、
「悲しい」=「気がめいる」と捉えることができます。
最後に
【スリム文①】と【スリム文②】を合体させてみます。
最初の段落は、こんな感じだと思います。
一応、用意したので、載せてみましたが、
この内容、この言い回しでは、伝わらないような…。
これ、理解できる人は、最初から分かっている人では、なかろうか。