taketakechopの小話の世界

taketakechopが展開するイラスト・映画・文法にまつわる小話の世界です。

部首「月」には、3つのタイプがあるのです。

f:id:taketakechop:20190110175144j:plain

例えば、次の3つの漢字の部首「月」は、それぞれ何を表しているでしょうか?

①服

②期  

③胃

 

【答え】

① 

 「服」の「月」は「舟」が変形したもので、通称「ふなづき」と呼ばれたりします。「服」の元の意味は、「舟の両側のそえ板」のことです。

 

② 

 「期」の「月」は「お空に浮かぶお月さま」のことです。「其」には「ひとめぐり」という意味があるので、「期」の元々の意味は、「月がひとめぐりする」⇒「月のひとまわり。一カ月。」です。

 

③ 

 「胃」の「月」は「肉」が変形したもので、通称「にくづき」と呼ばれます。「田」の字は「胃袋に食物が入っている形を表した字」を省略したものです。

 この「にくづき」を部首に持つ漢字を漢和辞典で部首引きするときの注意は、「月」で引いても出てこず、「肉」で引かないと出てこないところです。

 また「」の上の部分も「にくづき」です。「月」を斜めにしたデザインです。「肉」の下に「火」をあてるので「炙る」となります。

  

 

 

 このようにデザインは同じですが、本来の意味は、異なるものも少なくありません。整理整頓する中で一緒くたにされてしまったようです。

 

兄と祝

「兄」の「口」の部分は、「大きい頭」を表したものですが、「祝」の「口」の部分は、「大きく開けた口(くち)」を表しています。というわけで、「兄」と「祝」の「兄」は違う意味です。「しめすへん」の隣にいるのは「お兄さん」ではなく、「大きな口を開けた人」です。ちなみに、なぜ、大きな口を開けているかといいますと、「しめすへん=神様」なので、「神様」に対して何かお祈りごとのようなものを捧げているようです。そこから「祝う」という意味になりました。

 

黒と燕

 どちらの漢字も、部首は「灬=れっか(れんが)」です。「れっか(れんが)」は「火」を表しています。しかし、「燕」の「灬」の部分は、本来は尾の象形部分が変形したものです。「魚」や「鳥」の「尾ひれの象形部分」や「足の象形部分」が変形して「灬」になったのと同じです。ちなみに「魚」や「鳥」の部首は、「魚(うおへん)」と「鳥(とりへん)」です。あ、あと「馬」の「」部分も「4本の足」を表しています。

f:id:taketakechop:20190111175239j:plain

 恐らく象形部分が「火」のようになってしまったので、そこから「」にされたのだと思います。「燕」の字をバラバラにすると、それぞれが体の各部分を表しているのがよく分かります。

 

と弊

 「算」の下の部分「廾(きょう、こまねき)」は、「左右の手をさしあげた様子」を表したデザインで、「幕」や「秦」にも取り入られています。

 しかし、「弊」の「」の部分は、もともとは「犬」でした。「弊」の本来の意味は「疲れた犬。役に立たなくなった犬。」という意味でした。勝手な想像ですが、大昔の宮廷で警護に使っていた犬を管理する部署があって、毎月、役に立たなくなった犬を記録していたのではないかと思います。そのときに、この「犬バージョンの弊」が使われていて「今月は50弊(犬バージョンで)」とか書いていたのだけど、字の雑な人がいたり、間違えた人がいて、引き継ぐ歴史の中で今の形になってしまったのではないかなーと思います。

f:id:taketakechop:20190111175602j:plain

●漢字の小話シリーズ

www.taketakechop.net

www.taketakechop.net
www.taketakechop.net
www.taketakechop.net