例えば、次の3つの漢字の部首「月」は、それぞれ何を表しているでしょうか?
①服
②期
③胃
【答え】
① 舟
「服」の「月」は「舟」が変形したもので、通称「ふなづき」と呼ばれたりします。「服」の元の意味は、「舟の両側のそえ板」のことです。
② 月
「期」の「月」は「お空に浮かぶお月さま」のことです。「其」には「ひとめぐり」という意味があるので、「期」の元々の意味は、「月がひとめぐりする」⇒「月のひとまわり。一カ月。」です。
③ 肉
「胃」の「月」は「肉」が変形したもので、通称「にくづき」と呼ばれます。「田」の字は「胃袋に食物が入っている形を表した字」を省略したものです。
この「にくづき」を部首に持つ漢字を漢和辞典で部首引きするときの注意は、「月」で引いても出てこず、「肉」で引かないと出てこないところです。
また「炙」の上の部分も「にくづき」です。「月」を斜めにしたデザインです。「肉」の下に「火」をあてるので「炙る」となります。
このようにデザインは同じですが、本来の意味は、異なるものも少なくありません。整理整頓する中で一緒くたにされてしまったようです。
兄と祝
「兄」の「口」の部分は、「大きい頭」を表したものですが、「祝」の「口」の部分は、「大きく開けた口(くち)」を表しています。というわけで、「兄」と「祝」の「兄」は違う意味です。「しめすへん」の隣にいるのは「お兄さん」ではなく、「大きな口を開けた人」です。ちなみに、なぜ、大きな口を開けているかといいますと、「しめすへん=神様」なので、「神様」に対して何かお祈りごとのようなものを捧げているようです。そこから「祝う」という意味になりました。
黒と燕
どちらの漢字も、部首は「灬=れっか(れんが)」です。「れっか(れんが)」は「火」を表しています。しかし、「燕」の「灬」の部分は、本来は尾の象形部分が変形したものです。「魚」や「鳥」の「尾ひれの象形部分」や「足の象形部分」が変形して「灬」になったのと同じです。ちなみに「魚」や「鳥」の部首は、「魚(うおへん)」と「鳥(とりへん)」です。あ、あと「馬」の「灬」部分も「4本の足」を表しています。
恐らく象形部分が「火」のようになってしまったので、そこから「灬」にされたのだと思います。「燕」の字をバラバラにすると、それぞれが体の各部分を表しているのがよく分かります。
算と弊
「算」の下の部分「廾(きょう、こまねき)」は、「左右の手をさしあげた様子」を表したデザインで、「幕」や「秦」にも取り入られています。
しかし、「弊」の「廾」の部分は、もともとは「犬」でした。「弊」の本来の意味は「疲れた犬。役に立たなくなった犬。」という意味でした。勝手な想像ですが、大昔の宮廷で警護に使っていた犬を管理する部署があって、毎月、役に立たなくなった犬を記録していたのではないかと思います。そのときに、この「犬バージョンの弊」が使われていて「今月は50弊(犬バージョンで)」とか書いていたのだけど、字の雑な人がいたり、間違えた人がいて、引き継ぐ歴史の中で今の形になってしまったのではないかなーと思います。
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