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「ご住所をおしゃってください。」 この表現は、尊敬を表している言葉でしょうか?

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 「ご住所をおしゃってください。」この表現は、尊敬を表している言葉でしょうか?では、久しぶりに品詞分解します。品詞分解すると、下のようになります。

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「ご住所」は、敬意を含む接頭語「ご」を「住所」につけた尊敬語。
「を」は、「対象」を示す助詞(=格助詞)。
「おっしゃる」は、「言う」の尊敬語。
「て」は、「前に続いて、次が起こること」を示す助詞(=接続助詞)。
「ください」は、「くださる(=恩恵を与える意味の尊敬語。)」の命令形で、「相手にお願いする」意味。

 一見、「ご住所をおしゃってください。」は、敬意を表している表現のように見えますが、「ご住所」「おっしゃる」「ください」の敬意を含んだ言葉を全て取り払い、普通に言い換えると、「住所を言え」となります。
 「住所を言え」、それは、もう命令でしかないので、どれだけ敬意表現に変えてみても、結局のところ、厳密には、「尊敬」を表していないということになります。
 では、「住所を言え」を、どうのように言えば、尊敬を表している言葉になろのでしょうか?
 金田一春彦先生曰く、「ご住所をお教えお願いします。」で大丈夫だそうです。

 ついでにもう一つ。「患者様」という表現は、丁寧な意味になっているでしょうか?
「患者」、この言葉自体がすでに良い印象を与えないために、これも、どれだけ丁寧な形にしても、やはり結局のところ、敬意を含む表現にはなっていないそうです。「御来院の方」「外来の方」という言い方が丁寧な意味になるそうです。