日本語には、
「はえ=蠅」「ちょう=蝶」「とんぼ=蜻蛉」
「ほたる=蛍」「あぶ=虻」という和語 *1 があります。
これを英語で言うと、
「はえ=fly」「ちょう=butterfly」「とんぼ=dragonfly」
「ほたる=firefly」「あぶ=gadfly」となります。
これらの日本語と英語を比べてみて、
どうでしょうか?
特に英語の方ですが、
何か法則に気がつきませんか?
そうですね。
英語には、
全部、「fly」がついています。
英語圏の人にとって、
飛ぶ虫は、
とりあえず「-fly」で表現しとこうという発想です。
日本人は、同じ飛ぶ虫であっても、
「はえ=蠅」「ちょう=蝶」「とんぼ=蜻蛉」
「ほたる=蛍」「あぶ=虻」と
わざわざ区別して呼んでいるところを見ると、
なんらかの興味・関心があったのだろうと思います。
しかし、英語の中でも、
「fly」がつかない飛ぶ虫がいます。
例えば、
「mosquito=蚊」「moth=蛾」など
「fly」をつけずに呼んでいます。
「はち=蜂」にいたっては、
「bee =蜜蜂]「wasp=黄蜂」
「hornet=スズメバチ」「drone=ミツバチの雄蜂」と
蜂の中でさえ、区別しています。
よほど英語圏の人と蜂は、
密接な関係にあったのだろうと推測できます。
たぶん蜜を取って、生活していたからでしょうか。
でも、
「か=蚊」や「が=蛾」を「飛ぶ虫」と区別する理由は、
何だろう?
「蚊」は、血を吸い、実害が出るからか、
でも「あぶ=虻」も実害が出るな…。
「ちょう=蝶」と「が=蛾」って、ほとんど同じに思えるけど、
なぜ、英語圏の人は、
「蛾」を「-fly」という呼び方で済ませれなかったんだろう。
謎ですね。
調べてないので、分かりませんが、
ただ言葉は、必要がなければ、生まれないので、
「mosquito」「moth」を
「fly」と区別する必要があったのでしょう。
例えば、
日本人は、「煮る」にこだわり、
英語圏の人は、「焼く」にこだわりました。
日本人は、
「煮る」「茹でる」「炊く」「沸かす」「煎じる」と
高温の水で調理する表現が豊富です。
一方、英語で上の表現をしようとすると、
だいたい「boil」や「simmer」と訳されるのではないでしょうか。
逆に「焼く」に関しては、
英語の方が表現が豊富です。
「bake」「fire」「roast」「grill」「broil」「incinerate」「burn」
日本語だと「焼く」「炙る」ぐらいでしょうか。
日本は、食において、
「焼く」よりも「煮る」の文化が発展したため、
区別する必要が生じました。
オリジナルな言葉に着目して、
アレやコレや考えると、
その言葉を生み出した民族の性格が見えるようで、
なかなか面白いなと思います。
*1:日本古来の言葉。