taketakechopの小話の世界

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諸星大二郎の『妖怪ハンター』

太陽の地図帖31 諸星大二郎 『妖怪ハンター』 (別冊太陽 太陽の地図帖 31)

 僕が『妖怪ハンター』に出会ったのは、今から5年くらい前のことです。『妖怪ハンター』とは、諸星大二郎が1974年に『少年ジャンプ』で連載を始めた「異端の考古学者・稗田礼二郎」が不思議なモノに遭遇する伝奇ロマンです。

妖怪ハンター (JUMP SUPER COMICS)

諸星大二郎

「ゴースト・ハンターものというのは、外国の怪奇小説の一つの類型だそうでこれをできるだけ日本風に、かつSF風に仕上げてみました。第1話で『古事記』を扱ったのが、古代史に興味をもち始めたきっかけです。稗田礼二郎の名は、『古事記』の暗誦者・稗田阿礼からとったものです。」(コミック帯の作者コメントより)

 

 僕が子どもの頃から『妖怪ハンター』は既に存在していたのに、それをリアルタイムで知ることができなかったなんて、残念でなりません。

は『インディアナ・ジョーンズ』 *1 を大事にしています。「歴史的事実」と「オカルト」を上手に混ぜ合わせてある、この作品をとても有り難がっています。この『インディアナ・ジョーンズ』に勝るとも劣らない作品って、なかなかないなと嘆いていたら、30年も前の昔から、この日本にあったなんて、本当にもう時間がもったいなかったなー。

稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター

 特に『魔障ヶ岳』がお気に入りです。これを読んだ当時、僕は興奮のあまり、近所の山奥に巨石 (=磐座)を探しに行き、さらには、奈良県の箸墓古墳を見に行って、三輪素麺を食して帰還するほどでした。

  

 

 

 『妖怪ハンター』の唯一の残念な点は作品の数が少ないことで、たぶん全部で29本しかありません。どうにか新作が出ないものかと待っているけど、2015年発行の『諸星大二郎『妖怪ハンター』異界への旅』の中で、諸星大二郎曰く「もう稗田は出てこない(笑)。」と言っているので、もう出ないのかもしれません。ガックシ。そうはいっても、「妖怪ハンター」に飢えているので、「妖怪ハンター」を感じることのできる作品を探しては、読んで過ごす今日この頃です。


『妖怪ハンター』を感じることのできる作品

新装版 栞と紙魚子1 (Nemuki+コミックス)

・諸星大二郎『栞と紙魚子』シリーズの中の「頸山のお化け鳥居」「長い廊下」「頸山城妖姫録」の3話で、『妖怪ハンター』を感じることができます。

諸怪志異 第一集 伝奇編 (コミック叢書SIGNAL)

・諸星大二郎『諸怪志異』シリーズの五行先生が出てくる12話程度で。
 ※五行先生を稗田礼二郎先生の先祖では、ないかなどと思い込むと、より一層楽しめるかもしれない。

奇談 プレミアム・エディション [DVD]

・映画『奇談』(『妖怪ハンター』の「生命の木」を映画化。) 主演の阿部寛が稗田礼二郎に見えなかったのが残念でした。 ただし、特典ディスク、諸星大二郎特別インタビューの中で作者の諸星大二郎は、「イメージに近くていいですね。」「今回の阿部さんのもいい感じの稗田で良かった。」「原作より学者っぽくていいキャラクターになったなと思います。」などと好意的な意見を言っていました。

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*1:こだわりをもって、『インディー・ジョーンズ』のことを『インディアナ・ジョーンズ』と呼んでいる。