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80年代のジャッキー・チェン

ジャッキー・チェン 〈拳〉シリーズ Box Set 2 [Blu-ray]

醉拳

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  • 成龍(ジャッキー・チェン)
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  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

 僕は、ジャッキー・チェンが映画がお気に入りです。とくに80年代の作品群。ジャッキー・チェンの映画は、まず「見せ場(場面)」ありきで、「筋(内容)」は、その「見せ場」と「見せ場」を繋ぐように展開します。それ故に「内容軽視・場面重視」傾向の映画となっています。80年代は「内容軽視・場面重視」に特化した黄金期と言えます。

 もうひとつの特色として、大手スーパーのような安心感がなく、個人商店のようにクセが強さがあります。いわゆるオンリー・ワンです。

 例えば、

・独特な手振り、身振り。

・常軌を逸したアクション。

・意味が薄いスローモーションの多用。

・見せ場における多角度撮影による映像の繰り返し。

・主題歌も歌っちゃう。

・パッと切り上げる終幕場面。

とクセのある魅力でいっぱいです。このジャッキー商店の魅力は、とくに監督・主演・脚本のワンマン作品で堪能することができます。

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主な監督作品

1979年 クレージーモンキー 笑拳

1980年 ヤングマスター 

1981年 ドラゴンロード

1983年 プロジェクトA 

1985年 ポリス・ストーリー/香港国際警察

1986年 サンダーアーム/龍兄虎弟 龍兄虎弟

1987年 プロジェクトA2 史上最大の標的

1988年 ポリス・ストーリー2/九龍の眼

1989年 奇蹟/ミラクル

1991年 プロジェクト・イーグル

1998年 WHO AM I?

2012年 ライジング・ドラゴン

  

 

 

 初期の『クレージーモンキー 笑拳』『ヤングマスター』『ドラゴンロード』の3作品は、伝統カンフー劇からの脱却が模索されます。

 1981年『ドラゴン・ロード』(27歳)においては「カンフーの型が一切出てこない」という伝統カンフー劇との決別ともいえるエポック作品になっています。

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 1983年『プロジェクトA』(29歳)から始まる一連の現代劇は、1987年『プロジェクトA2 史上最大の標的』(33歳)までが黄金期となり、健全な「内容軽視・場面重視」作品を楽しむことができますが、1988年『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』(34歳)からは「内容軽視・場面重視」のバランスが崩れ始め、ジャッキー・チェンは、禁断の「内容」を求め始めてしまいます。そのため、1989年『奇蹟/ミラクル』(35歳)は、ジャッキー・チェン監督作品の中で最も「場面重視」が弱い作品となっています。

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 『奇跡/ミラクル』に、一応の満足を得たジャッキー・チェンは、1991年『プロジェクト・イーグル』(37歳)で従来の「内容軽視・場面重視」傾向に戻りますが、健全な「内容軽視・場面重視」映画は、これが最後となってしまいます。

プロジェクト・イーグル デジタル・リマスター版 [DVD]

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80年代は終わり、ジャッキー・チェンも大人になってしまうのでした。

 

お薦め作品

1981年『ドラゴン・ロード』(日本公開版)

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