taketakechopの小話の世界

taketakechopが展開するイラスト・映画・文法にまつわる小話の世界です。

うんちが浮いた日

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 その日は、突然やって来た。

 taketakechopが7歳で、弟が2歳だっただろうか。

幼きtaketakechopと弟は、

よく一緒にお風呂に入ったものだった。

当時の

お風呂場というのは、

幼きtaketakechopを寒々とさせる場所だった。

タイルには、無数のヒビがあり、

さらに

四隅の柱の一本は、床下部分で腐り、

ぽっかりと穴が開いていた。

その穴は、外の世界と繋がっていたのだろう。

風呂場には、

アリの行列やゴキブリ、

はたまた無数の足をもつ、名状し難い不気味な昆虫が出没し、

天井には、

巨大な蜘蛛がへばりついていることがしょっちゅうだった。

とにかく恐ろしい場所だった。

実際、

弟は、ムカデに耳を噛まれ、

幼きtaketakechopは、

アリにチンチンを噛まれ、激痛に泣かされた。

 その日も、

幼きtaketakechopと弟は、一緒にお風呂に入っていた。

弟は、お風呂場で、暴れるのが習慣で、

いつものように水しぶきを上げて、

喜んでいたかと思うと、

急に修行僧のような苦悶の表情を浮かべ、

肩まで湯につかりだした。

苦悶の表情は、悟りを開いたかのような穏やかな顔つきに変わり、

そして、僕を見つめた。

すると、

弟の斜め後方から茶色の潜水艦が急浮上してきた。

「そんなおもちゃ、あったけ?

 うんちだ!」

弟のうんちは、固さに定評があり、

かつて道端で、小鹿のようなコロコロのうんこをしたとき、

祖母は、小石と見間違えた。

そのため、

うんちは、型崩れすることなく、

しばらく

幼きtaketakechopと弟の間をプカプカと漂っていた。